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EAPとは

EAP=従業員援助プログラム

EAPとはEmployee Assistance Program(従業員援助プログラム)と呼ばれ、アメリカで誕生した職場のメンタルヘルスサービスです。従業員およびその御家族の心の健康をサポートしていくことで、個人と企業の生産性を高めていくためのプログラムのことをいいます。

アメリカではFortune500社の大企業の90%がEAPを導入し、上位100社では100%EAPを導入しています。今日では、世界各国の企業でも導入され、プライバシーが守られた上で専門家による適切なアドバイスが受けられるサービスとして評価を得ています。

日本でも外資系日本法人をさきがけとして導入されてきていますが、まだまだ一般的にはなっていません。また日本のEAPプロバイダーが「職場のメンタルヘルスのプロ集団」で当然あるべきですが、日本では甘いところがあります。

EAPを導入するメリット

EAPを導入するメリットとしては、以下のような事が考えられます。

  • 企業・組織の活性化と業績向上のため
  • 社会的責任(CSR)のため
  •  コンプライアンス(法令順守)として(労働基準法、労働安全衛生法など)
  • 従業員のQOL(生活の質)向上のため
  • 個人のパフォーマンスと生産性向上のため
  • 企業のリスクマネジメントとして
  • Employee Satisfaction(ES: 従業員満足度)の向上のため

こう書きますと大企業をイメージしてしまいますが、2006年の改正労働安全衛生法に基づく「労働者の心の健康の保持増進のための指針」には「小規模事業場(中小企業や組織)においては、事業者は、セルフケア、ラインによるケアを中心として、実施可能なところから着実に取組みを進めるとともに、事業場外資源の提供する支援等を積極的に活用することが望ましい」とあり、この事業場外資源とは地域産業保健センターもありますが、当社のようなEAPが中心的役割を担うものと考えています。

従業員の復職に関する企業の責任; 外部機関の活用について

初めに

働き盛りの労働者の自殺者数増加に伴い、うつ病(うつ状態を含む)などの心の病に対する取り組みは産業保健領域においても注目されています。中でも休業の問題は深刻です。7割以上の企業で、心の病によって1ヶ月以上休業している人が存在しているという報告もあります。休業に至らないための予防が最も重要ではありますが、実際に休んでしまった従業員の復職に関する問題点を整理しておきます。

復職許可は誰がするのか

従業員の復職を許可するのは主治医でも産業医でもなく、当然のことながら企業です。これまで慣例として、主治医(精神科専門医であることが多いでしょう)から復職可能の意見書または診断書が提出されますと、企業(主に人事部門が担当)はほとんど無批判にそれに従い復職を許可してきました。医師の専門性に対する信頼からその様にして来たという面が大きいでしょうが、一方、断った場合、つまり、働けると言っている従業員に対し、仕事を与えないことで生じる、雇用契約上のトラブルを避けるためという側面もあったと考えられます。

しかし、企業には、安全配慮義務があり、従業員の状態を十分に把握する責任がありますので、いくら医師の意見に従ったとしても、復職してきた従業員の病状が短期間のうちに悪化したとするならば、責めを負うのは企業ということになります。繰り返しますが、最終的に従業員の復職を許可するのは主治医でも産業医でもなく企業だからです。

安全配慮義務に関する理解が深まり、また、再休職する従業員の増加とも相まって、大手の一部企業や自治体などは精神科専門医を含む審査会などを組織し、従業員が復職できる状態にあるのかどうかを詳細に検討するようになって来ました。時期尚早と判断した場合には療養の継続を命じるわけですが、前述の雇用契約の問題と絡み、高度の専門性が必要となります。一企業が簡単に取り組めるものではありません。

復職デイケアについて

最近、リワークデイケア(復職支援デイケア)が徐々にだが増えつつあります。リワークとは、return to workから作られた造語で、リワークデイケアは、文字通り復職を希望する患者を支援するものです。保険診療として行われる場合、他の精神科デイケアと同様、通常は一日6~10時間程度、週5日間行われている場合が多いです。医師や看護師だけでなく、作業療法士や精神保健福祉士、心理士など、多職種により運営され、休職中のうつ病患者に限定するなどの一定の条件を設けてメンバーの均質化を図ったり、職場場面を再現するような様々なプログラムを提供したりするなど、種々の工夫がなされており、リハビリテーションという面からも、復職準備性(=復職するのに十分な状態にあるかどうか)を推測する面からも、ふさわしい治療環境といえます。

デイケアで過ごす時間を全て医師が観察することはできませんが、多職種協同で行われる各プログラムを通じて、スタッフが直接観察した客観的な情報が集められるメリットは大きいのです。職場復帰に対する意欲、通勤時間帯の移動の可否、勤務時間帯の作業効率・眠気・注意力・集中力、前日の疲労からの回復具合など厚生労働省の復職ガイドラインに示された職場復帰判定基準の例として挙げられているものは殆ど収集する事ができ、主観的な患者報告や短い診察時間だけで収集された主治医が持っている情報と比べて、客観性、正確性において情報としての価値は高いのです。

当社の取り組み

安全配慮義務などの観点から、主治医の意見書だけでは復職可能かどうか判断に迷うような場合には、復職デイケアの利用を検討し、より詳細な情報の収集を図ることが、企業にとっても従業員にとってもメリットは大きいといえます。特に企業にとっては、早すぎる復職を受け入れてしまうことは、その従業員の病状を再度悪化させるということだけではなく、周りの従業員の混乱、士気低下などを招き、一方、いたずらに復職を拒否した場合、訴訟の危険にさらされます。当社では、リワークデイケアを行っている医療機関との連携が十分に取れており、中には、二日間で一定の診断を行えるようなシステムを確立しているクリニックもあります(精神科専門医による診察、詳細な診断書の作成を含む)。当社を通じることで、いっそうスムーズは外部機関との連携が可能となります。

労働者の心の健康問題は企業経営のリスクマネジメント

近年、労働者の心の健康問題については、企業経営上のリスクマネジメントとして取り組む必要があるという認識を持った企業が多くなっています。企業がこのような認識を持つ背景には、メンタルヘルス不調が原因となって自殺に至った事例において、裁判所が企業側の安全配慮義務違反を認定し、多額の損害賠償を命じる判決が出されているという現実があります。リスクマネジメントという視点から、メンタルヘルス問題に取り組みたいと考える企業は多いのですが、「実際にどのような対策を立てればよいのかわからない」という声をよく耳にします。

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」によれば、事業場において、労働者自らのケアである「セルフケア」、管理監督者による「ラインによるケア」、産業医や産業看護職による「産業保健スタッフ等によるケア」、EAPや医療機関などの外部機関による「事業場外資源によるケア」のいわゆる4つのメンタルヘルスケアを継続的かつ計画的に実施することが必要であると述べられています。また、これらのケアとともに、メンタルヘルスに関する教育研修や情報提供、メンタルヘルス不調への対応、職場復帰のための支援、職場環境の改善等も合わせて行うことが必要になります。

メンタルヘルス対策を実施する上では、上記の4つのケアをバランスよく実施していかなければなりません。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任義務があるため「産業保健スタッフ等によるケア」までは実施できますが、事業場外資源によるケアについては効果的に実施されていない事業場が少なくありません。米国においては常時50人以上の労働者を使用する事業場では、ほぼ100%が企業外部機関であるEAPを導入していると言われています。我が国においてもEAPサービスを提供する企業も増えつつあります。ただ、残念なことにEAPサービスの質を考えたとき、必ずしもすべてのEAPが良質なサービスを提供できていないことが問題となっています。行政機関も労働者の心の健康問題に取り組むための体制づくりを進めており、働く人の心の健康をサポートするため、「メンタルヘルス対策支援センター事業」(厚生労働省委託事業)を展開しています。その事業の一環として、EAP機関の質を担保することを目的として、登録相談機関制度を導入しています。

未曽有の経済危機といわれる今だからこそ、企業は効率よく利益を上げることに専念する必要があります。事業場外資源として位置づけられているEAP機関を利用することは、企業の経営リスクであるメンタルヘルス問題への対応をアウトソーシングすることだと言えます。経営リスクの分散という視点からも、EAP機関の有効活用を検討する時代ではないでしょうか。

個人の健康が企業の健康、そして社会の健康に!

北海道における社会状況はここ数年、経済の低迷、それに伴う雇用不安、リストラなどによる職業安定の問題、合理化による働く産業現場の変化などを背景に、職場の人間関係の希薄化、役職ポストの不足、技術革新への対応力不足、休職者急増、将来不安など大きな問題が増えており働く従業員のストレス増大につながっています。

こうしたストレスは、業績・生産性の低下、欠勤・早退・遅刻・疾病逃避・いじめ・人間関係悪化・事故、ミスの多発、心身不調の訴え、アルコール依存、依存症候群、医療費、事故費の負担増、労使間トラブル等をもたらし、今、あらゆる職場で、とくにうつ病・躁うつ病を中心とした「感情」障害と呼ばれる精神疾患が急増しています。メンタルヘルス問題は、労働者の健康と生活、労働組合、職場のかかわり方も含めて大きな問題になっています。

一方、そうしたメンタルヘルスが悪化している状況の中で、今まで企業は、心の健康について充分な知識がなく、身体の健康診断のみで終わり、心の健康問題に取り組んでいる企業(事業所)は、少なく取り組み内容も相談、定期健診による問診程度に留まっています。心の健康づくり計画を策定し、トータルヘルスプロモーションの一環として包括的に取り組んでいるところは、わずかであると思われます。それも事業規模が小さくなるほど取り組みが不十分で、中小企業ほど心の健康づくりが大事だと言われていますが、現状は対策が取りにくくなっています。道内は全体に中小企業が多く、対策の具体的な取り組みはこれからの大きな課題になることが予測できます。

こうした精神疾患の増加を背景として自殺者も増加しています。仕事や精神障害や自殺の原因であるとして労災補償を求める事案が急増しており、2009/6/9付けの道新によると昨年度の厚労省の集計では「心の病で労災 過去最多」と報道されています。

メンタル不全や過労自殺をどのように予防して、その取り組みについては、3つのレベルの予防法に分けると、まず1次予防として精神疾患にかからないようにする職場全体の底上げ、職場を活性化させ、労働環境を改善する取り組みで、健康教育や講演、研修、情報提供などで労働者のメンタルヘルスに対する意識を向上させることです。続いて2次予防は、精神疾患の発生を早期発見するための取り組みで本人や周りが早めに気づき対策をとることで、スクリーニング調査など気づきのポイントを知ってもらうことです。3次予防は、再発率を減らす取り組みで、本人、職場、主治医の連携とサポートでリハビリ勤務のプロセスを具体的に進めていくことです。

職場におけるメンタルヘルス対策は、2008/3/13付けで厚労省労働基準局発の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が改正されると共に労働安全衛生規則の改正で義務化されています。この指針でメンタルヘルスケアは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減したり対処する「セルフケア」、管理監督者が心の健康に関して職場環境等の改善や労働者に対する相談対応を行う「ラインによるケア」、事業場内の産業医や産業保健スタッフ等が事業場の心の健康づくりの推進を担い、また労働者や管理監督者を支援する「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び事業場外の機関や専門家を活用し、その支援を受ける「事業場外ケア」の4つのケアが継続的、計画的に行われることが重要であると示されています。

多くの職場が心の健康づくりは、重要な課題となっていると認識しているが、「専門スタッフがいない」「取り組みみ方がわからない」などで具体策に進められない状況ではないでしょうか?またすでに対策に取り組まれている職場でも前段の3つのケアで留まっている状況が見受けられます。

そこで、メンタルヘルスの関心が高まる中で大きな実績をあげているEAP(従業員支援プログラム)が注目されるようになってきました。

今、日本で注目されているのは、先に示された4つのケアを効果的に展開するプログラムであること、また、うつ状態の早い段階で手を差し伸べて、大きな粉悲劇になることを防ぐシステムや専門的な知識、スキルを備えているからとも言えます。

EAPによるメンタルヘルス対策は、病気に注目し治すことが目的ではなく、従業員やその家族に個人的な問題を解決するための専門的なサポートを提供することによって従業員の業績のアップや生産性の維持、向上を目的としています。

米国では、従業員数50名以上の企業のほぼ100%がEAPを導入しています。

その効果は、メンタルな病気を早期に発見し、早めに休ませることによって、早めに回復することができます。傷病休職を長くとっている人に対しては、その人の状況に応じた対処方法を立て直すことを検討し職場復帰を早めます。職場での事故、労働災害を防止することもできます。相談する窓口があれば、個人的な悩みも解決しますし、危険な状態にあると言うことも判断することができます。離職する部下や欠勤や遅刻、早退を頻繁にする、病気で長期に休む部下、勤務時間中に飲酒したり、集中に欠ける部下がいれば上司はその対応に追われてしまいます。さらに、部下同士の対立、上司と部下の対立があれば生産性に大きな影響を与えると共にその対応に管理職も時間を費やされます。

EAPによって問題が解決されることによって管理職が費やす労力も時間も必要なくなります。

こうした効果があることで、すでにEAPを活用する企業も増えてきておりますが、より効果的な対策の推進のために、社内に専門スタッフが確保しづらいことや社内よりも社外の専門家の方が相談しやすいことがあるため、事業場外の相談機関等の資源の活用による専門的なサポートが利用できる体制整備に国が力を入れて、昨年から国が厳しい基準を設けて登録制度にしています。

当社はこの厳しい登録基準を道内で初めてクリアした登録相談機関(登録EAP)です。安心して活用していただけます。また当社は、道内全域で精神科医との連携が可能ですので、札幌以外の地域にある営業所や支店などの従業員への対応も可能です。また医療機関への受診が必要となった場合にも、精神科専門医が速やかに対応できる体制が整っています。さらに、職場復帰の支援のためのプログラムの提供も可能です。

当社のスタッフは、「人は誰でも自らを維持し、強化する方向に自分自身を発展させようとする自己成長が備わっていて、自己実現をしようとする力をもっている」と言う人間観に立ち、働く人々が自らの力で解決できるよう支援することを相談の基本姿勢としています。

「個人の健康が企業の健康、そして社会の健康に!」を当社のモットーとして北海道の企業を元気にします。

当社の活用をご検討くださり、連絡をお待ちしております。